包丁コラム
砥石の性能を決める5因子
2018年7月6日砥石
前回、砥石の性能を決める3要素について、コラムを書かせていただきましたが、今日はもう少し細かい内容についてお話したいと思います。前回お話した砥石の性能を決める3要素の他に、砥石業界では5因子というのがあります。分かりやすく言うと、砥石の性能を決める3要素を更に分解して考えた因子ということになります。
具体的に見ていきましょう。
まず3要素の一つであった砥粒ですが、これが3つの因子に分かれます。
1.砥粒の種類
砥粒の種類は、大きく分けて、アルミナ系と炭化ケイ素系に分かれます。こちらについては前回詳細を記載しましたので、今回の投稿では割愛させていただきます。
2.砥粒の粒度
これは、皆さん砥石を買われる時に指標とされている番手と呼ばれるものです。中砥石だと#1000といったこの数字のことです。数字が大きくなると砥粒は小さくなり、仕上げ砥石になっていきます。手研ぎの範囲では起こりえませんが、砥粒が小さくなるほど、熱が発生しやすくなるので、焼き戻りしやすくなります。また、粒度が大きい程、砥石としての強度は弱くなります。
3.砥粒の組織
これは砥石の容積に対して砥粒がどれだけ含まれているかを表す指標になります。
砥粒率は、約10%~約60%を、0から25まで細かく分けられています。ただ、砥石の世界では、約30%~約60%程度を、0から14の15段階で用いられていることが殆どです。
結合剤が同じものを使っており、結合剤の分量も同じ場合は、砥粒率が大きくなると、砥粒同士の結合が弱くなり、砥石がよく減り、軟らかいと感じると思います。ただ、砥粒率が小さくなりすぎると、砥粒同士の結合が強くなるので、硬く感じ、刃が当たりにくいと感じると思います。また、硬い分、砥石は脆くなります。この微妙な加減が砥石の性能に大きく作用します。
残りの2因子は、3要素の一つであった結合剤が分解されます。
4.結合度
結合度は砥粒を保持する度合いで、AからZの26種類あります。Aの方が結合度が弱く、従い、砥石は軟らかくなります。そして、Zの方が結合度が強く、従い、砥石は硬くなります。結合剤の量が多くなるほど、砥粒同士がよく引っ付き、硬くなります。結果として、砥石は減りにくくなります。
5.結合剤
結合剤の種類は、ビトリファイド、マグネシア、レジノイドが有名です。こちらについては前回詳細を記載しましたので、今回の投稿では割愛させていただきます。
今回と前回で、砥石について少し詳しい内容を書かせていただきました。研ぎが面白くなってくると、砥石について深く知りたいと思うようになるかと思います。砥石に関しては、また天然砥石の内容なども、今後投稿していこうと思っています。