包丁コラム
鍛冶師の匠の技のIT技術を活用した定量化の試み
2021年8月3日堺の包丁について
堺打刃物の製作卸である、株式会社高橋楠では、株式会社堀場製作所様の温度測定器を用いて、NECソリューションイノベータ株式会社様と共に、鍛冶師の鍛造及び熱処理における温度帯計測を行いました。
今回、測定に協力頂いたのは堺市でも指折りの鍛冶師である田中義一氏で、同氏の鍛造及び熱処理の温度帯を記録することで、今後若手の鍛冶師の指標となるとともに、なぜ同氏の包丁が世界中の包丁愛好家から支持されているのかを分析する契機となりました。
具体的には2021年6月と7月の2回に分けて、鍛造・焼きなまし・焼入れの温度を測定しました。
鍛造は、炉から鋼材を出して、鉄と鋼を鍛接する際の温度帯、炉に戻す温度帯を、焼きなましは、なます瞬間の温度帯、焼入れは水に入れる前の温度帯を測定しました。
株式会社高橋楠では、職人の減少傾向に歯止めをかけ、堺打刃物を持続可能な産業として維持するために、代表が4つの約束を掲げています。
その内の一つが、匠の技の科学的アプローチです。株式会社高橋楠では、今後も引き続き、匠の技を可能な限り定量化し、属人的な工程を減らし、ITの技術を用いて工程を近代化することで、生産能力を上げ、産業として維持できるよう努めて参ります。
※尚、具体的な温度数値については、機密情報となるため公開できませんので、予めご理解の程、お願い申し上げます。