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鋼材について

2017年4月28日その他

鋼材

前回の投稿で鋼については別のブログで詳しくお伝えすると書きましたので、今回は鋼についてご紹介したいと思います。

 

和包丁で使われる鋼としては、大きく分けて、鉄鉱石から作る鉄に炭素を加えた炭素鋼と、その炭素鋼にクロームを加えて錆にくくしたステンレス鋼の二つがあります。一般に和包丁で「鋼」というと、炭素鋼になります。そしてこの炭素鋼は、炭素含有量により、鋼の種類が細かく規定されています。鉄は炭素量が多い程、硬くなり、切れ味や耐磨耗性(長切れするかどうか)が増します。一方で、硬いが故に、適切に使用しないと割れやすいと感じ、また炭素鋼は、適切に手入れをしないと錆びやすいという難点もあります。

 

和包丁でよく使われる鋼は日立金属が制作している安来鋼であり、これは日立金属の島根県安来市の工場で開発されたことからこの呼び名がつけられました。

 

安来鋼のベースになるのがSK材で、これは家庭用包丁によく用いられます。
SK材から不純物を減らした鋼材が黄紙鋼で、こちらも家庭用包丁によく用いられます。

 

黄紙鋼からさらに不純物を減らした鋼材が白紙二号です。
焼き入れが難しく、一部の職人しか鍛冶仕事が出来ないのですが、切れ味が良く研ぎ易い刃物に仕上がる鋼材です。

 

そこからさらに炭素量を増加したものが白紙一号です。白紙一号は、白紙の中で鍛冶仕事が最も難しく、鍛冶職人によって出来上がりが大きく異なります。それゆえ白紙一号の良質の包丁は、堺でも非常に稀少な包丁となっています。

 

ちなみに、白紙二号から炭素量を減らした鋼材は白紙三号で、こちらは焼き入れがしやすく、一般的に家庭用とされています。堺では「白鋼」というと、白紙三号を指すことが多くなっています。

 

白紙鋼で作った包丁は、ステンレスで作ったそれに比べ、硬度が高い故に切れ味が鋭く、研ぎ直しがしやすいのですが、上でお伝えしたように適切に使用しないと欠けやすいと感じてしまう難点もあります。

 

純度の高い白紙二号に粘りを上げるクローム(Cr)と耐摩耗性(長切れするかどうか)を上げるタングステン(W)を加えた鋼材が青紙二号です。
そこからさらに炭素を加えた鋼材が青紙一号になります。
さらに炭素・クローム・タングステンを加え、特殊溶解すると安来鋼青紙スーパーとなりますが、私の知る限り、堺で青紙スーパーを打っている鍛冶職人は聞いたことがありません。

 

青紙鋼は、白紙鋼に比べ硬いので、研ぎが難しくなっています。

 

ちなみにですが、価格はSK材より白鋼が高く、青鋼は更に高くなります。

 

鋼材についてはこちらのページもご参照ください。

 

次回はステンレス鋼についてお話したいと思います。