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ダマスカス鋼

2017年10月27日その他

ここ数年で特に外国人の方に人気のダマスカスについて少しお話したいと思います。

まず、今包丁の世界でダマスカス鋼と呼ばれているものは、本来のダマスカス鋼とは異なります。

本来のダマスカス鋼というのは、シリアのダマスカス地方の刀剣に使用された鋼材に名前が由来します。この原材料となる鋼材は、インドで作られた高炭素鋼材のウーツ鋼(「ウーツ」は「硬い」という意味)なのですが、これを「ダマスカス鋼」と呼んでいたようです。

本来のダマスカス鋼は、鍛造の過程で縞模様が現れていたとのことで、和包丁については鍛冶の工程で縞模様はほとんど出ないので非常に興味深いです。また、原材料のウーツ鋼は、名前の由来(「硬い」という意味です)からも、切味はすさまじかったと言われています。また、切味がある上に、このダマスカス鋼は錆びなかったとされています。本来、「錆びにくさ」と「切味」は反比例するのに、これもまた興味深いです。

また、現在は、本来のダマスカス鋼はつくれないようなのですが、再現の試みも過去幾度となく行われていたようです。

和包丁や洋包丁で、流行りのダマスカスは、鋼材を何回も折り合わせて積層の形になったものです。波線の数だけ層があり、今は主に16層鋼、32層鋼、64層鋼の包丁が存在しています。本来的には、鍛冶仕事で何度も鋼材を折り返すのでしょうが、時間と労力に割に合わないので、仕入れた鋼材が積層になっているケースがほとんどだと思います。鍛冶職人によっては、工程の中で一手間加えることでより美しい模様を作り出す方もいます。

また、ダマスカス鋼の包丁は特別切れるのかと言われるとそういうわけではないように思います。ただ、見た目が美しいので、その分、価格は高価に設定されています。

*写真はダマスカス鋼の洋包丁です。

参考:JOM 50 (9) (1998)